不運な星で堕ちましょう【T . Nagayama】

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仕事が終わり、スマホを開くと、トムさんからメッセージが返ってきていた。











トムお返事遅くなってごめんなさい!
僕も楽しみにしています^^













ふ、と笑いが溢れた。












トムさん、きっと素敵な人なんだろうなあ











今までの私の恋愛は、散々だった。










高校の時に初めて出来た彼氏は、体を目当てにして言い寄られていただけ。














大学で出来た彼氏には浮気され、それはもう酷い結果だった。















まあ、私には男を見る目がない、と。














でも、今回は違うのかもしれない。













土曜を楽しみに、仕事に励もうと思った。








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そう言っている間に、土曜日はやってきた。







普段は着ないようなロングスカートに、ひらひらとしたトップスを着る。







普段は一つ括りにしている髪の毛を、今日は巻いたりなんかして。








集合場所は、「水族館の深海魚のいる場所」だった。








ウキウキのあまり、集合時間より早くに到着してしまった私は、ふらっと深海魚のエリアを見て回ることにした。











深海魚は、あまり人気がないのだろうか。人は数えられる程しかいない。












正直、暗いところはあまり好きではない。















その闇に何がいるか分からないから。


飲み込まれてしまいそうになるから。

















ふと、目に止まった生き物がいた。















クリオネ
















クリオネって、深海魚だったんだ。
















確かに、海でそうそう見ないか...















クリオネは天使と言われていますが、捕食する姿は悪魔そのものです



















突然、後ろから聞こえた声。














冷たく、無機質な、声。



















髪は白...いや、金髪だろうか















全身が黒に覆われ、ゴム製の長靴を履いている。

















初めまして、Aさん



















光のない目で微笑む彼は



















トムさん...ですか？










如何にも、私が数日前からやり取りをしている相手であった。

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