紅一点×SnowMan⑩ (ページ4)

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side KIKUCHI ページ4

寝ていたら誰かが部屋を出る音がする。
隣を見ると空の布団が見える。

樹か、、、。

タバコかなって思ったけど、
タバコならベランダに出るはずだから、、、。

てことはAの部屋か。
だとしたら。俺はそっとドアを開けた。

よく付き合っていた頃はベランダから
星を見ながら話をしていたから、
きっと今回もそうな気がする。

A『樹が私の前でタバコ吸ってるの見たことないかも。』

田『俺ね、女の子の前では吸わないようにしてんのよ。』

A『そっか。』

田『けどさぁ。姉御慣れてそうだから。これからは吸っちゃお。』

慣れてる、、、？

少なくとも、俺と付き合う時は
そんなことなかったと思うんだけどな。

田『てかさ、慣れてるって永瀬がベランダで吸ってるからって言ってたけどさ。』

A『うん。お隣さん。』

田『それだけじゃねーべ？』

A『え？』

まじか。
てことはあそこにあった男物の洗面道具って、、、。

田『永瀬となんかあんだろ。いくらお隣さんでも、タバコ慣れるくらい一緒にいるって。』

そう樹が言うとAはため息をついて話す。

A『樹ってほんと鋭いから嫌だ。』

田『付き合ってる？』

A『まさか。』

田『だよな。てことはさ。』

A『樹の想像してる通りだよ。』

ひゅっと喉が鳴る音がした。

付き合っていないことに対する安心感と、
Aを深く知る人物が増えたことに対する怒りと。

田『へぇ。永瀬もやるなぁ。いつから？』

A『緊急事態宣言が出た後。Wi-Fi借りに行ったのがきっかけかな。』

え？てことは、、、。

俺がAの家に行った時にあったやつは、、、？
あれは緊急事態宣言が出る前だったから。

そもそもお隣同士なら洗面道具を置いておく必要はない。

田『好きなの？』

A『分かんない。風磨と別れてから人に対して好きとかって感情を持てなくなっちゃった。』

田『本当に？』

A『え？』

田『俺はさ、別に姉御のやり方を否定するつもりないよ。けどね、なんか辛くない？そうやって身体だけの繋がりばかりなの。』

A『、、、辛いよ。』

声を振り絞った感じがまたなんとも言えない。

A『けどさ、私ってきっと人の温もりを感じてないとダメな人間なんだよね。』

それは、、、知ってる。
俺がずっとそばにいたし。