××エンド、××ルート (ページ2)

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佐倉マリア。

ハーフ特有の彫りの深い造形美と愛嬌がある性格の彼女は瞬く間にSnowManで咲き誇った。

そして私は、彼女と肩を並べる実力も自信も無かった。

それだけの話だ。

人と違うことをしろ、なんて言われて個性が無い奴は一生這い上がれないのがこの世界。

私の個性は"女であること"だけだった。

「マリアまたドラマ決まってたね。おめでとう」

「ふふ、ありがとう阿部ちゃん」

今朝のネットニュースは
マリアのドラマ出演がトレンドを飾っている。

3クール連続ドラマ出演だってさ。

凄すぎて想像もできないよ。

「Aも昨日のバラエティ観たよ。俺マジ腹抱えて笑っちった！」

「ドッキリっしょ？⋯⋯お前あぁいうの大丈夫になったの？俺から見ても結構キツそうだったけど」

そりゃあNGなんて出してたら仕事なんて全部マリアに流れるからね。

そんな言葉がすぐに浮かんだけど、顔に張り付かせた笑顔で誤魔化す。

『何年前の話してんの。
もう私は大丈夫なんですー』

嘘。

マネから話を聞いた時、本当は絶対にやりたくなかったし嫌だった。

私ってアイドルだよ？ジャニーズだよ？

って。でもマネだって必死に私に仕事を持ってきてくれることを知っているから。

「さすがA！」

メンバーだってそれを望むなら、私は。

泥を飲むことは慣れている。