××エンド、××ルート (ページ11)

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適当に袋から取り出した飴玉は桃味だった。

例に漏れずにそれも噛み砕いていると、音につられたのかメンバーの一人が近づいてくる。

「何味？」

『桃。他にもミルクとか抹茶とか⋯⋯佐久間は抹茶無理か』

「ぶどうで！ぶどうある？」

『あるよ。ちょっと待ってね、』

佐久間にぶどう味の飴玉を渡す。

渡した飴玉に跳ねて喜ぶ姿はいつだって変わらない。

それを見たラウールが「佐久間くんガキじゃん」とボヤいたけれど佐久間には聞こえてないみたいた。

あとラウね、ガキは駄目。言葉遣い悪いな。

「あんがとねー」

ピンク色の髪がわたあめみたいにふわふわ揺れる。

タピオカのような目がぱちぱちと弾ける。

佐久間はお菓子みたいな男だと常々思うのだ。

存在が甘くて優しくて、驚きを与えてくれる。

佐久間が康二にちょっかいをかけに行ったのを見て
私も視線を逸らした。

そして偶然目に入ったモノ。

『⋯⋯え？』

楽屋にも簡易的なミラードレッサーがある。

今は誰も使っていないはずのそこに、

人影。

ゆらゆらと横に揺れるその人影。

その人影がゆっくりと両開きの鏡を開ける姿に、

私は目を逸らせなかった。

なぜってそんなの。。

視界がまた眩しすぎる光に満ちていく。

また迷い込んでしまう、あの世界に。